当サイトの有料コンテンツでは、特許審査官が発送した拒絶理由通知書の各条文の適用率を検索できます。適用率は、各条文が適用された数を、拒絶理由通知書の総数で割った値です。拒絶理由条文コードが新形式になった2022年5月以降に発送された拒絶理由通知書を対象にして、適用率を集計しています。日本全体の適用率は、無料コンテンツで公開しています。
今回は、明確性違反の適用率が日本一高い特許審査官の各条文の適用率をご紹介致します。下記の表の通り、この特許審査官が拒絶理由通知書を発送すると、94.88%の確率で明確性違反が指摘されています。日本全体の各条文の適用率と比べると、非常に高いことが分かります。この特許審査官は、非発明の適用率も非常に高いです。
拒絶理由条文コードの適用率は、特許審査官の優劣と関係ありませんが、特許審査官ごとのばらつきが大きい統計の1つです。同じ所属部署(技術単位・審査室)の特許審査官の中には、ある特定の条文に非常に厳しい方もいれば甘い方もいます。ある条文の適用率が平均値から大きく外れた特許審査官の指摘は、平均的な特許審査官の指摘とは大きく異なる可能性があるので、注意が必要です。
例えば、明確性違反の適用率が日本一高い特許審査官が指摘した明確性違反は、平均的な特許審査官の考え方よりも過度に厳しい可能性があります。明細書に記載の態様に請求項を限定すれば解消するかもしれませんが、本当にそのような限定が必要かについては注意が必要です。拒絶理由通知書の指摘に真摯に対応することは重要ではありますが、相対的に厳しい特許審査官の指摘なのかを考慮に入れながら対応案を検討すると、より良い拒絶対応が可能になるでしょう。
また、特許審査官が明確だと考える請求項の文言は、拒絶理由通知書の内容から分からないことも多いので、必要に応じて面接審査を活用し、特許審査官と直接的に対話をすると良いでしょう。予算等の兼ね合いもありますが、あえて補正せずに(場合によっては、拒絶理由通知書に対して応答自体をせずに)審判段階で権利化を目指すのも一案として考えられるでしょう。
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