今回は、前置査定率の活用方法を説明します。前置査定率は、前置審査における特許査定率です。前置査定率は、前置審査における特許査定数を、当該特許査定数と前置報告数の合計数で割った値です。
直近10年間における日本全体の前置査定率は、59.42%です。直近10年間における通常の特許査定率(最初の査定までの審査における特許査定率)は、74.60%です。前置審査では、特許査定率が約15%落ちるようです。
前置査定率の分布は、↓の通りです。横軸は、前置査定率です。縦軸は、横軸が示す前置査定率の特許審査官の人数です。↓の通り、前置査定率も通常の特許査定率と同様、分布にばらつきがみられます。
前置査定率から通常の特許査定率を引いた値の分布は、↓の通りです。横軸は、当該値です。縦軸は、横軸が示す値の特許審査官の人数です。分布の山は、日本全体の-15%付近にありますが、↓の分布にもばらつきがみられます。通常の特許査定率よりも前置査定率の方が高い審査官もいるようです。
前置査定率は、前置審査の厳しさを表します。前置査定率から通常の特許査定率がプラスの特許審査官は、通常の審査よりも前置審査の方が特許査定を得やすいので、前置審査が狙い目です。このような特許審査官が拒絶査定を発送した場合、前置審査に望みをつなぐために、審判請求時に補正をすることを検討した方が良いでしょう。
一方で、前置審査が非常に厳しい、又は、あまりまともに審査しない特許審査官もいます。前置審査率から通常の特許査定率を引いた値のマイナスが大きい特許審査官は、前置審査の望みが薄いので、審判請求時の補正をせずに早期に審判段階に移行するのが良いでしょう。当然、拒絶査定の妥当性を検討することが重要ですが、拒絶査定を発送した特許審査官の傾向を把握することで、より精度の高い検討が可能になります。
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