知財系もっとAdvent Calendarの空き枠に投稿できるようになったので、こちらは「The easiest examiners in Japan 2024 ☆ベリーラクシマス☆」と題しまして、主要統計の各部門ごとに甘い特許審査官を大発表したいと思います。
では、こちらも行ってみましょう!今回のブログの文面はふざけていますが、統計情報は正当な値ですのでご安心下さい。
【特許査定率部門】
特許査定率は、最初の査定で特許査定になる確率です。最初の査定なので、前置審査で特許査定になった案件は、拒絶査定扱いになります。表1は、2024年の特許査定率の上位10位の特許審査官のリストです。査定等の合計数が一定数未満の特許審査官は、ランキングから除外しています。この点は、他の表も同様です。
審査官1-1,1-2は、2024年の特許査定率が何と100%でした。他の方も非常に高い特許査定率です。出願人の立場からすると、特許査定を得るのはありがたいことではありますが、あまりにも甘すぎると心配になります。競合他社の立場からすると、なぜこの内容で特許査定になったのかと困惑することがあるでしょう。でも仕方ないですよ。だって100%なのですもの。
表1:2024年の特許査定率の上位10位
【乖離度部門】
乖離度は、特許審査官の特許査定率から所属部署(技術単位・審査室)全体の特許査定率を引いた値です。乖離度は、同じ技術分野を担当する同僚の特許審査官と比べた相対的な特許査定率なので、技術分野ごとの厳しさ/甘さは関係のない値になります。
表2は、2024年の乖離度の上位10位の特許審査官のリストです。表2の個人特許査定率は、特許審査官が特定の所属部署から発送した査定等に基づいて計算した特許査定率です。全体特許査定率は、所属部署全体の特許査定率です。全体特許査定率が低いほど、乖離度の伸びしろがあるので、乖離度も高くなりがちです。
表2の所属部署は、全体特許査定率が極端に低いわけではありませんが、全体的にやや低めであり、乖離度が高くなりがちな所属部署です。その中で、表2の特許審査官は、どの方も乖離度が高く、個人特許査定率も高いです。審査官2-4の所属部署は、全体特許査定率が低く、厳しい部署ではありますが、審査官2-4に当たった場合には、あっさりと特許査定を得られるでしょう。
表2:2024年の乖離度の上位10位
【面接有り特許査定率の上場部門】
面接有り特許査定率の上昇は、面接有り特許査定率から通常の特許査定率を引いた値です。面接有り特許査定率は、面接記録又は応対記録がある案件だけで集計した特許査定率です。上昇の値が大きいほど、面接審査をすると特許査定率が上がる(面接審査が効果的である)ことになります。これ以降の統計情報は、2024年の1年間における数が少ないので、直近10年間の集計結果になります。
表3は、直近10年間の面接有り特許査定率の上昇の上位10位の特許審査官のリストです。表3の方々は、面接記録等の有無に関係なく集計した通常特許査定率が何れも低く、難攻不落の特許審査官です。通常特許査定率が低いほど伸びしろがあるので、面接有り特許査定率の上昇も高くなりがちです。表3の方々が審査を担当した場合には、まず間違いなく面接審査を実施した方がよいでしょう。私が権利化業務を担当していたら、表3の方々が担当していたら全ての案件で面接審査をクライアントに提案すると思います。
表3:直近10年間の面接有り特許査定率の上昇の上位10位
【補正無し特許査定率部門】
補正無し特許査定率は、査定直前に補正をせずに応答した案件だけで集計した特許査定率です。補正をせずに応答するということは、拒絶理由通知書に対して真向から反論することになります。補正無し特許査定率は、真向からの反論をどの程度考慮してくれるかを推定できます。
表4は、直近10年間の補正無し特許査定率の上位10位の特許審査官のリストです。表4の方々が発送した拒絶理由通知書に対し、補正をせずに意見書だけで反論しても特許査定を得られることが多いです。表4の方々が審査を担当した場合、忖度の補正は不要です。
表4:直近10年間の補正無し特許査定率の上位10位
いかがでしたでしょうか。同日に投稿した「The most difficult examiners in Japan 2024 ☆ベリークルシミマス☆」は、厳しい特許審査官の統計上でしたが、甘い特許審査官も傾向があります。個々の特許審査官の傾向に応じた業務を行うと、より精度の高い業務が可能になるでしょう。この点は、特許以外の審査官についても同様です。
皆様にとって素敵なクリスマスになりますように!
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